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それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

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08年4月25日(若しくは、とある無垢だった頃の純粋な記憶)

眠っている人間を観察するのが好きだ。
誰もがこの時だけは、穏やかな様相を見せている。
怒っていた人間も、苛々していた人間も、皆一様に寝息をたて、静かに睡眠を摂取する。活動している間、彼らがどんな人間だったとしても、この時だけは誰もが大差の無い表情をしている。

日だまりで丸まる子猫のように、腕に頬を乗せて眠る彼女を視線の端に引っ掛け、頬杖をついた。 



それが後に重要な意味を持つことを、その時の私はまだ知らない。

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夕日の注いだあの純粋な日々

かつて私が純で、それが罪だと全く知らなかった頃、日々は滑るように過ぎていった。
私の頭のほとんどを支配していたのは彼女のことで、彼女もまた優しかった。


私が好きだったのは火曜日だった。週の始まりに近い安穏としたその曜日は、七日ごとに部活があり、私にとっては単なる七つの曜日のうちの一つではなかったのだ。

火曜日の終わりには、ワイングラスを注いだような夕日の射す教室に、模造紙やら絵の具やらを仕舞うため、(ときには教科書をとりにいくために)向かう。残っている人間は殆どおらず、生徒をしまう小さな箱は空っぽだ。
私はそんな教室が好きだった。窓の外からは運動部の掛け声が響き、休み時間の喧騒はなく、秒針の音と、まだこの校舎のどこかにいる誰かの足音が微かに聞こえてくる。
静かに絵筆を拭きながら、私は時が流れるのを待っていた。

しばらくすると秒針の囁きと誰かの足音がし、私は顔をあげる。誤差は大抵三分以内だった。

彼女は私に気がつくと躊躇いがちのあいさつをする。
そして私も声を抑えたあいさつをし、それが終わると絵筆を置いて、必要のない教科書を取って、箱を後にするのだ。


それを七日ごとに繰り返していた。それが罪だとは毛頭思わなかった。ただ純粋に、彼女に会いたかった。
それ以外のことは必要なくて、
私は黙って笑い、彼女は引っ掛かりを覚える。
それだけで良かったのだ ただそれだけで


そして時が経ち、あの頃を振り返ってみると、進むことに何の躊躇いもなかった自分を、この手で抱き締めてやりたくなるのだ。

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緑色の昔話①

特徴的だ、というのが第一印象だった。本名はその時知った。(かつての旧友と同じ名字だったのだ)
あだ名はまだ知らなかった。

次に会ったのは約一年後の、教室の角だった。一月半も同じ箱の中で生活していたが、まともに顔を合わせたのはその時が初めてだった。私は前に一度会っていることを忘れていたし、彼女は勿論そうだったから、他のクラスメートと変わらない、他人行儀な社交辞令を二人でした。珍しく私は興にのっていて、人生でも数少ない、満足いく会話ができたと記憶している。あだ名はその時知った。


その次に会ったのは、対角にあたる角でだった。私はまた彼女の後ろで二月あまりを過ごしたのだが、それは私にとって原風景の思い出で、聊か美化されたそれは私が彼女との過去を語る際、三番目くらいに出てくるエピソードだ。

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