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それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

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6月7日 ジャム

「君は。何があったんだ?どうしてそんなことをするんだ?」
ワタヌキは聞いた。
「――ねえ、君は予習をする前に、何をする?」
私は言った。
ワタヌキは怪訝な顔をした。

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12月30日 6月27日


聞いた瞬間、驚きはしなかった。それは常に常に危惧していたことで、不意打ちを喰らったわけではなかったのだ。

『常に最悪の選択肢を考えていろ。』

ニコさんのその言葉が、いつのまにか内面化していたのかもしれない。それから私は、さらに考えうる限りの事態を想定した。

知らない振りをしていただけだった。
過去と見比べて、決定的なそれを聞くまでは、勘などといった曖昧なものは信じまいと、頑なに思っていた。
人を疑って傷つくよりは、信じて傷つきたいと、浅はかにも思っていた。


かつて私を救ったその言葉が、今度は私を殴り付ける。全ては裏を返される。
思い出の形をした時限爆弾を抱えて、私はただ盲目になっていたのだ。

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7月4日 カウントダウン



「そう、彼女は言っていたよ。  に告白されたって」

反射的に酷く汚い言葉で否定した。心臓は慌てて謝る。私が、彼女に?告白、だって?何時、どこで!
――まさか。

私はひとつに思い当たった。

(あれが、告白と言うならば、あの、あの、言葉、は!)

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2月15日 不安定


兎に角、辛かった。重度の火傷をした身体で、冷えた海に沈むような。
色々なことは積もり積もっていて、それに私は耐えられない。


問題点、と、幸せは諳じる。
「自分の範疇を超えた、彼女、という存在から依存を余儀なくされた今、情緒不安定な状態で、他のものを支えに出来るか、ということ」

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12月30日 3月3日


その時のことを今でもはっきりと覚えている。

その悪循環から抜け出そうと、無闇矢鱈にもがいていた。酸素が圧倒的に足りなかった。思考を経て、会話を経て、行動を経て、しかしそれでも、最後に辿り着いたのは彼女だった。

(――――)

彼女なら、彼女ならば、この延々続くメビウスの輪を断ち切る触媒になってくれるのではないかと、私は信じた。

今なら分かる。
私はその時、彼女を媒介に今を変えようとした。
しかし、それと同じくらいに、それ以上に、私は彼女に向かって叫んでいたのだ。

(助けて、助けて!)

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3月3日 時限爆弾


「けれど、けれど。それは、   にはきっとできないんだ、だから――」

「できないときには、できないって言うよ。いやなときには、いやって言うよ」

「――どうして、いやって言わないの」



「だって、いやじゃないもの」



,

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12月30日 3月3日


その時盲目だった私でさえ、その言葉は薄いと思った。勿論直ぐにその考えは押し出され、なかったことになった。確かにその言葉は私を救ったのだ。と。私は思った。

思わざるをえなかった。
それは自己暗示だった。私は彼女の言葉で、救われなければならなかったのだ。

それは最後の手段だった。
それで変化がなければ後がなかった。もう、変わりようが無かったのだ。


勿論救われてなどいなかった。前進も退歩もなかった。拒絶も許容もなかった。
そしてやり場の無い感情を消化する矛先は、自分に向いた。

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10月23日 逃げる糸みみず 2



当然だが、事実は別の形を持って、私の前に提示された。


不思議なことにそれは――心臓の言葉は――予想外のことだった。それ故に、動揺はしなかった。本当に面食らった時は、動揺した、と思う間も無いのだ、と、今はぼんやりと思う。


事実は、語る人間によって形が変わる。
それは事の本質的な変化を指すものではなく、何かを語る際に必ず含まれる、善意や悪意といったスパイス、それは主観とも言い換えられるけれど、それが語る過程で、事実それ自体の見た目を変えてしまうというただそれだけのことで、故に形が変わったからといって、それが必ずしも虚実であるわけではない。
そしてそれは、無限の可能性を秘めている。


その後はというと私は、不用意な行動をとった過去を半ば客観的に見ながら、致し方あるまい、と、奥歯で噛み砕いていた。
「此方にその意図が無くたって、彼方がそう受け取ったのなら。それは紛れもなく事実なのだ。彼女は嘘をついてはいないし、その点に於いては、悪意があったわけでもあるまい。」
事実、それ以外に関しては紛れもないことだったし、彼女に責めるべき点は見当たらなかった。私がいけないな。そう言うと、オアシスは面食らった顔をした。ジョーカーは、自己犠牲的だ、と指摘した。
(うん?)
この部分の事実だけ取り出せば、被告と原告は逆転してしまうらしい。それは彼女にとっても私にとっても心外なことだったから、兎に角黙ろうと思った。過去を蒸し返すつもりはなかった。それが筋というものだし、実際暫くの間はそうしていた。
「彼女の言葉は真実だ」
そう呟いた。のだが。


「君の好意を彼女は知っている。けれど、君はそれに――彼女が好意に気付いたことに、気付いていないのではないかって、」
彼女が。


(だとしたら、私は果たして、彼女に告白をしたのだろうか)


その引っ掛かり全てを言葉にしてしまうのは躊躇われ、しかしそれでも口にせずにはいられない。「そう言ったということは、本当は分かっているんじゃないのか――」
私に、告白の意図がなかったということに。




『そう、彼女は言っていたよ。  に告白されたって』

あれから三月以上も経っていた。丁度、彼女が私の「告白」から置いたのと、同じ期間だった。

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1月29日 導火線



「――言っちゃいなよ」

彼女はまるではにかむかのように笑った。
その声は不自然なほど自然で、この状況で不安も怯えもなく、むしろ何かしらの愉悦と確信と期待を含んでいた。だから、彼女は。

彼女は。
告白されるのを待っている。
ただその言葉を聞くためだけにここにいるのだと、私はぼんやりと気付いた。




「――ねえ、緊張しているのは、  だけじゃないんだよ。私も、何を言われるのかって、すごく、どきどきしているんだから――」

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11月30日 敏勘


「……でも、本当に彼女が好きなら、私はこんなこと言うべきじゃないんだ。」
船頭は目を細めて頷いた。「大丈夫、私は誰の味方でもないから」
そう、船頭も、彼女と同じようになにもしないだろう。完璧な中立。この箱では珍しい人間だった。

「……でも今回に関しては、若干  に、」
「いや違う。駄目だよ。彼女が何をしようがだからといって、私が悪いことには変わりはないんだ。私がいけない。迷惑をかけたのがいけないんだ――」

慌てて発せられた言葉に丁寧に耳を傾ける船頭は、紛れもなく旧友のそれだった。
船頭は空を見た。私は床を見た。彼女に対する二つの思いが巡り、揺れた。

「船頭は彼女の言葉を信じるべきだと思う」

何故ならこの箱の中では。
重要なのは通りでもなければ理屈でもない。

「船頭は、彼女の友達なんだから。」


彼女が事実を話したのか、私が事実を話したのか、それが事実なのか、私と彼女以外の人間には誰も確かめようがない。今となっては、何が事実かもわからない。それならば、失いたくないものを、信じれば良い。疑いたくないものを、信じれば良い。彼女のように何も知らない振りをして。

笑えばいい。

「さっきも言ったけれど、私は彼女とはあまり話さないんだ。それに、『四人で』仲が良いわけでもないんだよ」
「うん、うん、知っているよ――見ていれば分かるもの――」

そしてそれ故に、私と、星と心臓と船頭の繋がりは、余りにも悲しい。

誰か私の言葉を、烏滸がましいと責めれば良い。けれど、他人行儀な級友たちはそんなことを言わない。面と向かっては、決して言わない。それが無性に、怖かった。

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