聞いた瞬間、驚きはしなかった。それは常に常に危惧していたことで、不意打ちを喰らったわけではなかったのだ。
『常に最悪の選択肢を考えていろ。』
ニコさんのその言葉が、いつのまにか内面化していたのかもしれない。それから私は、さらに考えうる限りの事態を想定した。
知らない振りをしていただけだった。
過去と見比べて、決定的なそれを聞くまでは、勘などといった曖昧なものは信じまいと、頑なに思っていた。
人を疑って傷つくよりは、信じて傷つきたいと、浅はかにも思っていた。
かつて私を救ったその言葉が、今度は私を殴り付ける。全ては裏を返される。
思い出の形をした時限爆弾を抱えて、私はただ盲目になっていたのだ。
PR