忍者ブログ

それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

2024.11│123456789101112131415161718192021222324252627282930

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

11月30日 敏勘 2

「さっきはありがとう」
と言うと、船頭は笑った。ほんと、ばかなんだから!
「かわいい、なんて言っちゃうんだもの!」
こわい、って言ったのよ!と訂正すると、やはり船頭は笑顔でいた。

「だれをみていたの?」
「……ああ、あのへんの席の、」
「どっちをみていたの?」
「……前のほう」

船頭は、ほんとに!と楽しそうに笑った。そして、そのままの顔で言う。
「この間の三時間目、貝と話していたでしょう?」
「話していたけれど、」
「見ていたよ、彼女。――  ちゃんを。こう、ノートを見るふりをしてね」

その言葉すら、私を動揺させない。私はマフラーの先に触りながら、心から言った。
「ほんとうに、あなたは勘が良い!」
「ね、偶然気づいちゃったんだよね」
船頭はいたずらっ子のように――ただし、心臓とは違うふうにけらけら笑った。

きっと彼女もこわいのだ。私と彼女は違うけれど。
ただかつての私のように悩まなければ良いと思った。


「私と貝はね、美術の話をしていただけなんだけれどね」

拍手

PR
*COMMENT-コメント-
*COMMENT FORM-コメント投稿-
  • この記事へのコメント投稿フォームです。
Name:
Title:
Mail:
Url:
Color:
Decoration: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Message:
Pass: ※編集時に必要です。 
*TRACKBACK-トラックバック-
  • この記事のURLとトラックバックURLです。
  • 必要に応じてご使用くださいませ。
この記事のURL▼
この記事のトラックバックURL▼
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
ブログ内検索
アクセス解析