忍者ブログ

それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

2024.11│123456789101112131415161718192021222324252627282930

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

嘘吐きと偽善者の逃避行⑦

少女は垂直に跳ぶと、ジャングルジムに飛び付いた。不思議なことに、ジャングルジムは逆さになって空にくっついていた。

ジャングルジムだけではない。
滑り台もブランコも、皆逆さになっている。
少女は気が付けばジャングルジムにきちんと座っていたから、正しく地面に立っているのは私だけになっていた。世界が全てひっくり返っているのだ。

「みかなちゃん。君のことと、君が彼女と呼んでいる、あの子のことについて教えてよ」

少女は、滑り台に飛び移りながら楽しそうに尋ねた。

「みかなちゃん。この二週間、君はあの子と何をしていたの?」
「野宿」

私は投げやりに答えた。

「彼女は私のクラスメートだよ。あまり話したことはなかった。変な人。面白い人。おかしくなった頭を治すために、修道院の鐘ががんがん鳴る四時間目にどろんと消えてしまった。十日後また現れて、私を連れ去った」
「なんのために?」
「分からない」

少女は思案するように頭を捻ると、何処からともなく紙パックのオレンジジュースを取り出してきて、私に放った。「飲んで」「ありがとう」


「あの子はとても良い子だよ。真っ直ぐで、初志貫徹する。人の気持ちが分かる」
「そう。良い人だよね」
「みかなちゃん。君はあの子のこと、好きだった?」
「好きだよ」



少女は私の言葉を聞きにっこり笑うと、滑り台から飛び降り、私の前に立った。
そして私の首に抱きつき、首筋に手を沿わせた。

「君じゃ夢の続きになれないんだ」


いつも夢に出てくる、抱きついて泣いていた誰かはこの少女なのだと、その時気が付いた。

拍手

PR
*COMMENT-コメント-
*COMMENT FORM-コメント投稿-
  • この記事へのコメント投稿フォームです。
Name:
Title:
Mail:
Url:
Color:
Decoration: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Message:
Pass: ※編集時に必要です。 
*TRACKBACK-トラックバック-
  • この記事のURLとトラックバックURLです。
  • 必要に応じてご使用くださいませ。
この記事のURL▼
この記事のトラックバックURL▼
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
ブログ内検索
アクセス解析