目が覚めると、彼女はいなくなっていた。
「こんにちは、みかなちゃん」
その代わりに見知らぬ少女がいた。私より少し年上で、私と彼女と同じ制服を着ている。
「彼女はどこ?」
「あの子はもういないよ」
「しんだの?」
「生きてるよ。私の心の中でね。」
思わせ振りににやにやとして言うものだから、私は少し腹が立った。それを見て少女は意外そうな顔をした。
「それよりも、なんでみかなちゃんはこんなところにいるんだい?」
「彼女に連れ出された」
「何日前に?」
「二週間くらい前」
「その間、補導されなかったの?義務教育中でしょ?二人とも」
「そうだけど。されなかった。偶然だよ。」
「新聞を見た?ニュースを見た?記事にならなかったの?」
「ならなかった。多分、学校が揉み消したって彼女が」
「ずっとこの公園にいたの?二週間も?誰にも、何も言われなかったの?」
「言われなかった」
「二週間、何を食べて生きていたの?お金はどこから出たの?」
「忘れた」
「ここにどうやって来たの?電車?バス?」
「忘れた」
「ねえ、ここに来るまでに誰にもすれ違わなかったの?」
「……忘れた」
「違うよ、みかなちゃん。忘れたんじゃなくて分からないんだ。知らないんだよ、君は」
「あなたは、誰?」
「君は、あの子の名前を覚えている?それが、答えだよ。」
少女は私の頭を撫でた。
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