忍者ブログ

それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

2024.11│123456789101112131415161718192021222324252627282930

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

嘘吐きと偽善者の逃避行⑥

目が覚めると、彼女はいなくなっていた。

「こんにちは、みかなちゃん」

その代わりに見知らぬ少女がいた。私より少し年上で、私と彼女と同じ制服を着ている。

「彼女はどこ?」
「あの子はもういないよ」
「しんだの?」
「生きてるよ。私の心の中でね。」

思わせ振りににやにやとして言うものだから、私は少し腹が立った。それを見て少女は意外そうな顔をした。

「それよりも、なんでみかなちゃんはこんなところにいるんだい?」
「彼女に連れ出された」
「何日前に?」
「二週間くらい前」
「その間、補導されなかったの?義務教育中でしょ?二人とも」
「そうだけど。されなかった。偶然だよ。」
「新聞を見た?ニュースを見た?記事にならなかったの?」
「ならなかった。多分、学校が揉み消したって彼女が」
「ずっとこの公園にいたの?二週間も?誰にも、何も言われなかったの?」
「言われなかった」
「二週間、何を食べて生きていたの?お金はどこから出たの?」
「忘れた」
「ここにどうやって来たの?電車?バス?」
「忘れた」
「ねえ、ここに来るまでに誰にもすれ違わなかったの?」
「……忘れた」

「違うよ、みかなちゃん。忘れたんじゃなくて分からないんだ。知らないんだよ、君は」

「あなたは、誰?」

「君は、あの子の名前を覚えている?それが、答えだよ。」

少女は私の頭を撫でた。

拍手

PR
*COMMENT-コメント-
*COMMENT FORM-コメント投稿-
  • この記事へのコメント投稿フォームです。
Name:
Title:
Mail:
Url:
Color:
Decoration: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Message:
Pass: ※編集時に必要です。 
*TRACKBACK-トラックバック-
  • この記事のURLとトラックバックURLです。
  • 必要に応じてご使用くださいませ。
この記事のURL▼
この記事のトラックバックURL▼
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
ブログ内検索
アクセス解析