「キャラメルさんはどうしたの?」
「さあ?朝から泣いているけれど」
「何か聞かれた?」
「なにも」
「ああそう、ああそう、
――まあいいや」
そう、とにかく動揺していた。
彼女は面倒くさそうに、次の時間の小テストの勉強のため、机に視線を落としていた。
私は被虐妄想に襲われてしまう。相変わらずわけの分からないものは苦手で、恐怖の対象だった。(さらには昔のことを思い出してしまうからだ)
追い詰められた獣の行動は二通りに分けられるという。尻尾を巻いて逃げるものと、噛み付くものだ。私はどちらか、分かりきったことだ。
『海さんは話は聞くし拒絶はしないと思うよ。彼女が私を突き放さないのと同じ理由で』
おそらくキャラメルさんはそのことを気にしていない。
ただ、もしも、もしも、彼女にその質問をしていたとするのなら、それをキャラメルさん自身が重ねてしまったのだとしたら、と余計なことまで思案してしまうのは、性格ゆえなのだろうか?
私は心配性だ。ボールを追いかけるときも、もしもエースが潰されたら、と思ってしまう。その何万分の一の可能性を恐怖してしまう。
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