端のクラスは自習室になっているとかで、私はジョーカーを探しに行った。
私は見栄っ張りの理屈屋だったのだ。
教室の扉から顔だけ出し、ぐるりと教室を見渡した。
意外なことに、エースと目があった。
エースは、彼女や東のような旧友特有の口角の上げ方をして、少し鼻で笑う。
その瞬間には彼女も東も重なりはしなかったのだけれども、妙に様になっていたそれは、私のミーハーな心(若しくは別の場所)を著しく擽った。
きっとギャップに弱いのだ。ボールを追いかけていたときの私に対した素っ気なさと比べて。
「ねえ、鼻で笑ってみて!」
彼女は少なくとも笑っていた。ただ、周りが私を弄った。
彼女では何の動揺もしなかったに違いない。
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