私は駄目なのだ。自己中心的で。そこまで分かっているのに、行動に反映されない。常に欲望に忠実だった。
(ふとした瞬間に私と同じ土俵におちてしまった彼女を見て彼女がもう癒しになれはしないのだと思うことや、本当に彼女のためを思っているのなら今すぐにでも彼女の髪に触れた手を離さなければいけないことや、たくさんのことたちをいいわけにすること)
私は彼女の口からその言葉を聴くまで止まれない。止まらない。
「私はいつでもほんきだよ」。その言葉を彼女がどうとらえたのか、知る術はないのだ。
(東くらい離れていれば良い。東、東。このこはこわいんです)
彼女に抱きついた。
肩口からは良い匂いがして、私は顔を埋めた。
彼女の去り際は意外なことに笑顔だった。
PR