世紀は朗らかに笑った。
彼女の他の友人達と同じように、何の躊躇いもなく。
昨日までのように、私に対して気を遣ったような、対応の仕方を今一掴めないでいるような、そんなはりついた笑い方ではなかった。
(何故だろう。東のことが知られたのだろうか。差し出がましいという話になったのだろうか。何か悪いことをしたのだろうか。)
如何せん心当たりが多すぎた。疚しいことがありすぎだ。そしてネガティブにものを考えすぎだった。
変化が不安で堪らない。
変化が悪いと言うのなら、私は恐らく保守的な人間なのだ。
テンションを飛ばしてしまえば楽なのだろうか、(否、それはあまりにもハイリスクだ。)
狐と太陽の話は、私の好奇心を削いだ。安定すると何かに入れ込むことができなくなる。
ただ太陽に関しては嬉しいのか悲しいのか分からない妙な涙が出てきて、自分でも閉口してしまった。ジョーカーは何も聞かなかったし、狐は昔からそうであった。幸せも黄色も彼女達も、もう殆ど箱の中だ。
それは断ち切りが完了したことに違いはなく、私はそれを嬉し泣きということにしておいた。
エースと世紀と永遠を思った。彼女達は私の遠くにいる。
私は世紀に手を振った。
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