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それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

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7月4日② 猫が飼いたい、と私は嘯く

疚しい事があるから動揺するのだ、と言うと、心臓はいつもの笑顔で笑った。


「東は真っ白だね。彼女はわりと……」
「そう、アライグマのように黒い。怖い。怖いよ」

そういえば、最初にアライグマなどという表現を使ったのは誰だったろう、と、見当違いな感想を抱いた。

「涙目になっているよ」
「え」

比喩ではなく本当にそうであったようで、私は自分に驚いた。
ただ、あの時のように泣くほどのことではなく、わあわあ泣き叫びはしなかったので、安心した。
心臓は謝って、私は有難う、と感謝した。




(彼女は初めから、私と向き合う気など無かったのだ)




意見を聞きはしないのだろう。 (否、聞く。聞いたとて理解する気などない、ということだ)
それが酷い、ということではなく、共通認識が出来上がってしまうということで、共通認識があるから、簡単に何かに迎合することはできない。初めから結果はでているのだ。そう、円卓のときのように。
そんなものだ。
仕方が無い、と問題を投げるといつも思い浮かぶのは黄色の話で、私はそれを黒ととるか白ととるか、いつも迷っている。



(あの時もあの時もあの時も、笑顔で接したその後ろで)

 

「猫だとしたら、ずいぶんと生意気な猫だね」
「ああ、だからこそ猫なんじゃないのかな」

 



数年前の夏、近所の公園で猫と戯れていたことがある。
蝉が五月蝿く鳴く午前中、ある灰色の猫と長い間遊んでいた。その猫は随分と人なれしていて、なでると腹を見せて喉をならした。
「また来るからね」
その日の夕方、再び公園に赴いたが何処にも猫は見当たらない。何処かに行ってしまったのだろう、と諦めて帰ろうとすると、一人の老女が公園に入ってきた。と、同時に何処からともなくあの灰色の猫が飛び出してきて、老女の足にまとわりつき始める。
老女は、いつもこの公園の野良猫たちに餌をやっているらしい。

たった数時間で仲良くなったなどとは思わなかったが、空虚感に襲われたことは言うまでもない。
つまり、猫は生意気で非常に現金な動物だ、ということだ。

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