ドーナッツ型の薄い銀の円盤。ビーズをあしらっていて、鞄のキーフックからぶら下がっている。
「どうしたの」
「なんで、意見が変わったの」
このような話題よりもっと普遍性のある話題に興味のある筈の狐と太陽であったが、私の様子があまりにも変だったのであろうか、珍しく追求をしてきた。
「どうしたの」
「言っちゃいなよ!」
隠す話題でも無いが、話す話題でもないと思った。
話すべきではなかった。オアシスの時とは違って、私は一層惨めになった。
しかし、簡単に迎合しないからこそ、二人には公平性がある。そこは、喜ぶべきだ、と私はポジティヴに思考を働かせる。 哀れみも慰めも、私にとっては同様に辛い。
一つ車両を隔てた向こうで、彼女は何を思っているのだろう。
私は、最低だ。話すことに最早何の意味もないというのに。
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