席が三・四に分かれるとかで、永遠と世紀が三の席についた。
余りにも二人が親密すぎるから、三の席は一つ空いたままだった。例えば王と王妃の真ん中に座るような遠慮。憧れつつもいざ目の前にすると近づくのに尻込みしてしまう。
中々席は埋まらず、見かねた世紀が私の手を掴んで引き寄せて座らせた。「おいで!」
すでにわいわいとメニューを覗いていた永遠が、こちらを見てにっこり微笑む。私も、そんな永遠を見て微笑む。
「ラーメン好きなの?」
「好き!」
「よく来るよね」
一人異質な私に気を遣い、話を分けてくれる永遠と世紀は優しい人間に違いない。 旧友たちはそういうところできめ細やかで、だから私は旧友たちが好きだ。他人に対する、ひいては関わりの無い人間に対する、丁寧さや良い意味での遠慮のなさ。そういう教育を受けてきたのだろうか――私はむしろ、この閉鎖空間で培われた空気のせいだと思っている。そう、彼女や東もそうなのだ。
整体の話だとか、セッターの話だとか、世間が狭い話だとかをとりとめもなくして、私はふと、改めて二人は仲が良いのだと思った。それを言うと、幼稚園のときからだから、と世紀が笑う。そうだね、と永遠も笑う。
永遠は普段のふざけた話し方ではなかったから、それで私は二人の信頼関係を確信し、そして、二人が羨ましくなった。
私には幼稚園来の幼馴染みはいないのだ。
明日から大会が始まる。エース不在の作戦会議は、気が付けば雑談になっていた。
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