7月9日 ファンファーレを鳴らす皮肉なホイ ッスル
「焼いているの?」
「そう」
スルメ焼きみたいだ、と言うと永遠は笑った。
「暑くないの?」
「きもちいいよ!」
空は先ほどのぐずついた様子とはうって変わって、からりと晴れていた。
永遠はコートの真ん中でうつ伏せになっている。世紀と船頭はフリースローを打っている。先に五本入れたほうが、アイスクリームを奢って貰えるらしい。
「太陽が、大好きなんだ!」
永遠が無邪気に言った。
無邪気さは時に残酷だ。白いゆえに人を戸惑わせ、時に人を傷付ける。しかしそれでも、
「素敵だと思う!」
私は心から言った。願わくば永遠の無邪気さが、永遠に失われないようにと、この空に祈った。
太陽の光が降り注いでいた。もうすぐ始まる、終わりの始まりを祝福するかのように。
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