ひたすら相槌を打ち続けた。
それは他のクラスメイトや、そうでない人達――なんにせよ話を振る人のそれと同じで、ただそれは、余程の話題を持ち合わせていない限り、あっさりと終わる。そして案の定一つの話題が尽き、静かになった。
沈黙は苦ではない。むしろ甘受したい。が。気が付けば手を神経質に触っていた。柄にもなく緊張しているのだ、と分かれば、それは単なる戸惑いに近いのかも知れないということに思い当たる。ごお、と、電車がレールを擦る音が耳についた。
沈黙を苦にするか否かが親しさの指標なのだ、とは誰の言だったか。全くの嘘だと思った。沈黙を甘受できるけれど、私と彼女は親しくない。
「……ずっとこれだよね」
「そうだね、四年くらいこれだ」
銀色のフックにかかったキイ・ホルダーを丁寧に指先て玩びながら、ふとした拍子にふわふわとした感覚に襲われた。その状況を客観的に見ている自分が、顔をしかめさせる。キイ・ホルダーから手を離し、よったしわを伸ばそうと人さし指の横腹で眉間にさわると、彼女が不審そうにこちらを見た気配がした。深読みをされたかもしれなかったが、特に何も言わなかった。
ばいばい。そう言った彼女の顔を見ずに、私は手を上げて応える。礼儀がなっていない。相手の目を見て話せ。と、自分を正したところで遅かった。のろのろ電車が走り出す。
私も大概馬鹿だな。そう呟いた。
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