賢い人間は、大抵規則を持っている。比喩的なそれではなくて、本当の意味で。
例えば、教科書を入れる順番。起床時間。服の着方。筆箱の置き方。使う文房具。帰宅時間。意識してはいなだろうが、結果として規則という習慣に乗っ取っているのだ。
それから例えば、鞄をかける向き。彼女はどうだったかと、なんとか思い出そうとしたが、あまり思い出せなかった。実際それは些細なことだ。過去にせよ今にせよ。
目があった。
私はそれを意図的にしたはずなのに口角は固まったままでいて、結局私のほうから目を反らしてしまう。これじゃあただの不審者だ。
(ありがとう)
本当に言いたい言葉は感謝の気持ちであるのに、理屈張った頭は、言い訳と予防線を紡いでいる。
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