それは単なる談笑だった。決して込み入った話ではなかった。完成した作品を鑑賞していて、やれ、これはセロファンを使っただの、折り紙はこう切っただの、クリエイティヴな精神を持つ人間同士の、単なる談合だったのだ。その人間というのが、偶然、心臓と星だったというだけで。勿論私はそれと、よもやま噺以外の話をしていない。
「凄い。細かいなあこれは」
「それにセンスが良い! センスがあって、さらにそれを形に出来るというのが凄いよ」
「全くだね」
「この写真は、」
「予備校の。こうして見ると綺麗に見えるけれど、」
「実際はぼろいんだよね!」
(ただ、それだけなんです。あなたの話なんてしていませんでした。貝ともそうでした。ねえ、――サン。ごめんなさい。私がかつてそうだったように、あなたも私が、怖いんでしょうか。)
『四人で仲が良いわけでもないんだよ』
じゃあ、境界線を越えなかったのは、彼女なの? と、私はあの日の船頭に尋ねた。
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