「私、オアシスのこと好きだよ。彼女よりも好きだよ」
「どうしたんだお前」
私は黙って幸せの言葉を聞いていた。オアシスはいつものように黙っていた。オアシスに聞いて貰うというよりも、その発言自体に意味があったから、特に気にせず話を進めた。
「ほんとうだよ。私はオアシスのこと、すごおく好きなんだ」
やっぱりオアシスは黙っていた。私はにっこり微笑んで、頭を撫でた。
(干渉しない。他人行儀。冷たいのは性格で本当は優しい。そして私に興味がない。)
「彼女は怖いもの」
「彼女は怖くないよ。優しい好い人だよ」
怖い。笑顔で接する癖に腹の底では別のことを考えている。そしてそれを私にぶつけないくせに間接的に押し付ける。直接言う度胸も関心もないくせに
(やめよう。もうすんだことだ)
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