彼女が使った方法は至ってシンプル、かつチープなものだった。
この学校で遅刻をする者はまず朝学校に電話をしなければならない。そして遅れて学校に着いた時、事務の前にある名簿の、自分の名前の欄に時刻を入れるのだが、彼女はそのシステムの裏を上手についた。
その名簿で私は、12時きっかりに学校に着いたことになっている。しかし私はこの学校の何処にもいない。つまりそういうことだ。
彼女は行方不明の人間だから、何をするのも自由だった。ただ、知り合いに会うことだけは注意しなければならなかった。
だから制服と私服と電光掲示板のニュースに気をつけてなければならないのだ……と彼女は淡々と言った。
PR