6月27日12 時30分 あしがかりになるなど堪えられまい
「簡単だよ!こうやって振り返って―、ちゅ、ってすれば良いんだよ!」無邪気に言った永遠の言葉は、様々な方向から突っ込みを受けた。 エースは本屋で立ち読みをしたらしい。此方にも気をかけてくれていたのだ。嬉しかった。(そう、昨日思い悩んでいたことの答えだ) (良かった、からまわっていない)
しかしそのような素振りを全く見せないわけだから、エースはやっぱりエースだった。
彼女に抱きついて、べったりと甘えていた。「愛されすぎだ!」と友人たちは笑った。
不思議なことに、久しぶりに幸福を感じた。彼女は小さかった。愛すべき対象が欲しいだけなのなら、私は彼女から離れるべきだ。
近づいた以上は、もう癒しにはなれまい。もう彼女に近づく理由は無くなったのに、まだこのようなことをしているのは、きっと色々な意味で疲れているからだ。
やはり私は距離をとるのが苦手だ。他の友人なら直ぐにでも去っている場面で、ぐだぐだと足踏みをしている。
(甘えなどいらないと願ったのに、まだ私は、)
「近い、近い!」
永遠と世紀が笑って、梨がからかった。
どうにも苦手なのだ。精神的な距離は肉体的な距離と比例するわけだから、距離をつめられるとどうにも焦ってしまう。しかし自分から距離をつめられるのは、やっぱりこれも、疲れているからなのだ。
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