忍者ブログ

それでも君を*****。

(愛か恋かも分からないけれど)

2024.11│123456789101112131415161718192021222324252627282930

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

7月3日 一点五合目の馴れ合い

不機嫌そうな顔で彼女は教室に入ってきた。すぐに眠いのだと分かった。


「ねてる」
「ね」
鐘が休み時間の終わりを告げても、彼女は微動だにしなかった。
「おきて」
「鳴ったよ」

頭をつつくと、びくりと身体を震わせた。思いの外彼女は眠たいのだ。そして疲れている。
七月。八月の一月前。初夏。梅雨。そして終わりに近づく最後の山。

山の向こうには綺麗な景色があるという。彼女はそれを見るために山を必死で登っているのだ。


山の向こうに行ってしまえば、こちらには戻って来れまい。
私はそれに気づきたくなくて、未だに登山を躊躇している。安穏とした幸せな場所を、間も無く去らなければならないことから目を背けている。
こちら側は気づけば、ずいぶんと人が少なくなった。


べちゃりと机に伏せている彼女は、猫のようだ。
「かわいい」
そうだ、飴をあげよう。眠気覚ましに、立方体が二つくっついた小さな飴を。
そして私は自分の席に座る。

拍手

PR
*COMMENT-コメント-
*COMMENT FORM-コメント投稿-
  • この記事へのコメント投稿フォームです。
Name:
Title:
Mail:
Url:
Color:
Decoration: Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Message:
Pass: ※編集時に必要です。 
*TRACKBACK-トラックバック-
  • この記事のURLとトラックバックURLです。
  • 必要に応じてご使用くださいませ。
この記事のURL▼
この記事のトラックバックURL▼
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
ブログ内検索
アクセス解析