7月14日 今だけはエデンの林檎を食べさせて欲しかった
教室でKと蟹と、話していた。
「おめでとう!」
「ありがとう!」
「ごめんね、見にいけなくて」
優勝したのだ。良かった。少なくとも一つトロフィーを教室に置けて、と安堵した。
優しいKは、私が傷ついていると思ったようで、私の傍でじっとしていた。
雀の話を他人事のように聞きながら、(実際他人事なのだけれど、)しばらくぼんやりしていて、ふ、と視線を左にやると彼女が私を見て微笑んでいた。
「だいじょうぶ?」
彼女に近づくと、頬を人差し指で突いた。悪乗りした雀が滅茶苦茶に髪を撫でて、私を見て、御免、とからから笑いながら去っていった。
私は、してはいけないことをした。馬鹿なことをした。愚かなことをした。
「ごめんね」
「なにが?」
「いろいろと いろんなことを」
伝わらなかったに違いない。でも今は、それでもいいと思った。
大会は終わったのだ。私の三ヶ月も、終わったのだ。
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