かの円卓会議のとき、私が危惧したことは二つあった。
知っている。執着は弱みだ。負けだ。
つまり彼女は私の弱みだ。
髪は無かったから、逃げる場所は無い。『つまり、お前は自分に自信が無いんだな』。知ってます。知ってますセンセイ。だからどんなに論理的でない世迷いごとさえ、鼻で笑うことが出来ずに真に受けてしまうのです。
(例えば戯れの軽口、例えば道行く人の舌打ち、例えば試合中の暴言)
だから私はセーターを羽織った。身体が半分隠れた。
黄色は無表情でキャラメルを見ていた。
『
大学に進学したら
一緒にいられなくなりますね
住むところも離れていますし
きっと忘れてしまうんですね
』
それは嘘じゃない。でも、キャラメルが干渉してくるなら、これ以上は得策ではない。
『
なんと返事をしたらいいのでしょう。でも一つだけ言えること。
忘れてしまうことはない!
』
かの円卓会議のとき、私が危惧していてことは二つあった。
一つは世界が敵にまわることで、もう一つは彼女が傷つくことだ。