「違う。交代は梨」
「あれ、」
「まだいて。 にはまだ頑張って貰う」
「、ありがとう――」
そうだ。分かったでも頑張るでも了解しましたでもなくて、何故口をついたのが感謝の言葉だったのか――それが意味するところが分かったとき、私の中に結果がすとんと落ちてきて、私はそれに対する責任をとる必要があるのだと悟った。
全ての責任をとる、などという烏滸がましいことは出来ない。私は、自分の力をそこまで過大評価していない。そして実際私には結果を左右するような影響力は持ち合わせていなかった。はずだ。そう思っていたはずだ。
『エース、 をもっと使って!』
『 には、まだ頑張って貰う』
東は味方に手を貸した。エースの言葉はそれを受けていた。その証拠に、私に、繋げようとしていた。勝つために、ボールを。
『きっとね、エース以外がどれだけシュートを決められるかが、決め手になると思う』
世紀の言葉がよみがえる。
そして私は髪を切った。
理由を聞かれたら、東へのお詫びだとでも言っておこう。若しくは、失恋したの、と、笑顔で振り切ろう。
誰も責めないのなら、せめて私だけでも、私を、責めることにしよう。