――だから、おかしいだろう。と、矛盾を指摘したところで何かを向上出来るわけではなかった。指摘したところで何かが変わるわけでも無かった。仮令何かが変わるのだとしても、私はそれを取り沙汰することはしまい。体力も気力も残っていない。それをぶつけることは出来ないだろうし、またしない。そして、誰が。誰が。そんなことをするものか! 見当違いも甚だしい。私にそんな権利があるものか。この私に。
悪いのは私だ。彼女は無実だ。ああ、でも、どうして。どうして。
「そう言ったということは、本当は分かっているんじゃないのか――」
それすら確信を持たないままで、私はむかしを思い出す。
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