ぐらぐらする。体が熱い。熱い。
エレベーターに酔いそうになりながら、私は教室に戻る廊下を歩いていた。真っ直ぐに伸びる廊下。突き当たりにはキャラメルの箱くらいの大きさの、級友たちが密集している。
(こんなヴィジョン、前にもあった)
歩いても歩いても間に合わないような気がして、私は小走りになる。またぐらりと視界が歪む。歪んだ先に見たのは彼女の後ろ姿で、手を伸ばしても届かないのが分かっていたから、私は立ち止まった。人が、いる。人が、密集している。密集――いや、人、が――!
突然過去が、どうしようもない過去が、私の背中を襲ってきて、胃の内容物が押し出され喉を焼いたあの感覚がリアルに思い出されていた。やめてくれ。やめてくれ。それは、苦しい。苦しい。苦しすぎる――!
キン、カン、とベルが鳴る。私はリアルな嘔吐感を押さえながら、あの時と同じようにドアを開けた。あの時とは違って、振り返らなかった。
(嗚呼、どうしよう、厭なことを、おもいだしてしまった)
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