質問を最後まで黙って聞いた後、相手が言いきるのを待つように一呼吸置く。ぽつぽつと事実を述べながら、二度まばたきをする。目を閉じた時に重なる睫毛だとか、どこか遠くを見るような表情だとか、型にはまったそれら、四年前から変わらない形が視野の端に引っ掛かると、どうしようもなくぞくりとして、逃げ出したい気分にかられてしまった。用件を述べ終え背を向ける私にどうして、と言葉が投げ掛けられ、素敵だったから、と返事をしながら振り返った。
「ああ、ええと、見に行ったのよ」
「そうなの――どのへんが素敵だったの?」
壁に体を預ける彼女はまるで私と会話をしているようで、それでも、そこでも、状況を肯定的に受け入れた私は黙って去ることはできなかった。負の感情は全て霧散していて、ただ無感動に処理をしていた。うまく笑えていたのだろうか、私は。ただ、早くオアシスと桜のところに帰りたかった。
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