二秒。
それは私にとっては無意味なほど短い。
(そんなことがあるだろうか、)
糾弾の取っ掛かりをまた作ってしまった。晒される。暴かれる。形はないが確かにあるもの、言葉にしてしまえば一瞬で輝きが失われるもの。このかんじを誰かに話せば消えてしまう。愛すべき無言語の領域が。
「例えば用事がある時、私は君がどこにいるか探すよ」
「うん」
「でも、用事は無いんだ。少なくとも、その時はないんだ。何の意味もなく君がどこにいるか探すんだよ。どういうときに、そうするのだろうか」
「意味もなく見て、何も言わずに視線を逸らすということ?」
「そう。例えば好きなのかもしれない、例えば嫌いなのかもしれない。」
「嫌いなひとの顔は見ないな――恋でもしているのかい?」
「いや全く」
(私を見たな。私を探したな。用事は一体なんなんだ。)
白と黒の重りの乗った天秤は、いつまで経っても釣り合わないままだ。
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