沈黙を苦にするかどうかが親しさの指標なのだと狐が言った。
「しかしあれは慣れだよ。若しくは無関心だ」
本当のところは彼女にしか分からないに違いないが、それは限りなく正解に違いない。そして、何故かその事実に傷ついている自分に気がついた。
(おかしいな。私は表面的に彼女に受け入れられていて、望んだのはそれだけの筈だったのに)
「本当は嫌なのかも!」
戯れの、単なる無意味な会話であった筈の言葉に傷付いているのは、しかし何故だろう。
(私は強欲だ。貪欲だ。やっぱり足りない。先が見える限り、それが新月の蛍光だったとて求め続けてしまう。満足が、足りない。満足が、足りない。)