1月29日 それで救われるわけがないと分かっ ていた
嗚呼、何処かへ行きたい。遠いところに。私を知る人がいない場所に。貯金を全部財布に入れて、何もかも置いて、一番高い切符が行く街まで、電車に揺られて、がたごとがたごと。そしていつまでも戻ってこないのだ。そうだ、逃げ出したい。やり直したい。いろいろなことを、白紙からもう一度。
「どの電車?」
「あそこの、」
「送っていくよ」
嗚呼、このまま何処かへ行ってしまいたい。君を連れて何処かに行ってしまいたい。何もかも捨てて、全てを無かったことにできる場所まで。君だけを連れて、世界の果てまで行ってしまいたい。君だけがいれば良い。君だけが、私を認めてくれたら良い。それ以外に何も要らない、要らない、要らない、だから――――
「ばいばい」
(それでも私はなにもしない。何も出来ない。中途半端な辛さだから、捨てることなど出来ないんだ。)
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