「まあみててよ!」
私は二人の友人の前で、空っぽの箱を逆さにし、机に軽く叩きつけた。箱を持ち上げると、
「……50円」
の形を模したチョコレートが机の上に鎮座している。底蓋の下に隠されていたわけだ。
「君のそーゆーとこ好きだよ!」
「ありがとう」
私は箱に向かってにっこり笑った。彼女は、なんと言うだろう。ジョークは通じなさそうだが、少なくとも礼は述べるだろう。楽しかった。それは、彼女への贈り物を作ることがか、創作することかが――おそらくどちらもだ。私は終始口角をあげながら、明日になるのを待っていた。
しかしその時はすでに状況が動いていたわけで、今ではその白々しさにぞっとするばかりだ。
(しかし知らない方が幸せなこともあるのだ、と私は学習する。)
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