エースのジャージを引っ張った。
振り返って、に、と笑ったものだから、私は舌を出した。エースも舌を出した。笑っていた。
優しさに甘えて、それで簡単に作られる人間関係は、他人行儀な優しさ、そして社交事例であるが、果たして幸せなのだろうか?
私はエースを観察している。永遠を観察している。感情が含まれないからこそ楽なのだ。(執着は敗北だ)狐や世紀の話を私は生かさなければならない。
二人のエースが潰れなければ良い。私にはエースに
言うことがあった。
*
その放課後、ぼんやりとバレーを見ていると、「どうもです!」と、エースが呼んだ。私は、気がつかなかった。見られていると思ったのだろうか?見ていたのだろうか?全く気がつかなかった。確かに私は味方に絡みすぎた。
エースは笑い続ける。彼女は非常に内向的だ。
彼女は私の眼鏡をかけて、梨の眼鏡をかけた。眼鏡を変えれば良いのに、と思ったが、今のままで良いと思い直した。
此方をむいてハートを作った旧友に、半ばやけくそのように手を振った。
べたべたとして、何がしたいのが訳が分からない。ただ、早々に戦線離脱した彼女は賢かったと思った。
梨も星も勿体無い。
私は、赤か狐のチームであったら、きっとこのやる気も空回らなかったろうに。
「正直やりがいがないのです」
「どうして?」
「エースや永遠が入れてしまうから。私が頑張らなくても勝ててしまうんです」
「でも、「――――――」
思いの外彼女は深刻に受け取ったようで、彼女は困ったように話し出そうとしたから、それに被せるように私はまた、話し始めた。
彼女に理解できても、それは無意味だった。