「また会おう」
一通りの話をしてから、彼女は言った。私は黙って頷いた。次に会う時はトラックの、赤いコーンとコーンの間だ。何の会話も無しに別れる。そして別れると同時に繋がる。
一度無造作に背中をむけかけて、私は四ヶ月ぶりに彼女に向かって右手を伸ばした。彼女は全てを了解したかのように笑って、しっかりと私の手を握った。言葉はなかったが、恐らく考えていることは同じだった。
彼女の手は大きくて、何でも掴めてしまいそうだった。
走ろう。疾風のように。かつて彼女が指摘したようにできるかは分からないけれど。今は、私の全てを懸けて走れるような気がした。
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